Ep.18 偏見を持っていたものがライフワークへ【フォトグラファー 井上ユミコ】

Ep.18 偏見を持っていたものがライフワークへ【フォトグラファー 井上ユミコ】

今どんなことをされているの?

メインはフォトグラファーとしてモデルさんや女優さん、俳優さん、それに、ファッションページを撮影することが多く、時々広告などをやっています。

 

プライベートワークとしてバレエダンサーを撮っていたご縁で、VOGUEJapanさんで、世界でもトップの超有名なダンサーを撮らせてもらう機会が増え今はバレエダンサーをもっと撮りたいと思っています。

 

バレエとのご縁はどこで?

実は、バレエの経験は全然なくて、むしろ偏見を持っていたタイプなんです。白タイツ、モッコリ(笑)ふわふわ踊ってるファンタジーというイメージで。そんな時にVOGUE Japanの編集者から、パリオペラ座バレエ団が来日するから潜入取材を、ということで依頼をいただいたんです。

 

舞台裏を撮った時に、その力強さと、鍛え抜かれた肉体美とを目の当たりにして、今までの自分が恥ずかしくなるくらいの衝撃を受けました。今までたくさんの美しいものを見て来たけれど、人間そのものがこんなにフォトジェニックって今まで気づかなかったなんて、なんてもったいない!と思ったんですね。それがバレエとの出会いです。

 

ライフワークとの出会いによる変化

フォトグラファー冥利に尽きることって、ライフワークと言えるモチーフに出会えた時。「ああ、これを一生やりたいな」と思えるものに40歳くらいでやっと出会えた。

 

フリーランスなので、それまでは、たとえお仕事が回っていても常に不安だったんですが、バレエというライフワークに出会ってから心強くなったんです。一つ光が見えてるから、焦らなくなりましたね。もっと撮る、もっと観る、自分で企画を売り込む、というようなことをやっていました。

 

クリエイティブとは縁のない進路に進んで

中学生くらいの頃、当時流れていたキャノンのCMで、女性のフォトグラファーが異国の街を歩き、花売りの美少年に出会って写真を撮る。というものがあって、すっごくカッコイイ!そんな生き方したい!という憧れの気持ちが芽生えたんです。

 

ただ、私は田舎に住んでいたし、進学校に行っていて、美大というものがこの世に存在する事を知らなかった。勉強して大学受験することしか知らなくて、カメラマンなんて夢のまた夢くらいに思って東京の四年生大学を受験しました。

 

大学生になってもやっぱり写真に関わる仕事がしたいという思いが強くて、SWITCHという写真が綺麗なカルチャー誌があって、好きすぎてそこでアルバイトをしたんです。朝から深夜まで働いてたので、結果的に留年をして親からの仕送りが止まりました(笑)

 

自分にもできるかもという思いの芽生え

そうやって現場でプロの写真家さんたちと出会って、撮りたいなという気持ちが芽生えてきたのと、そういう人たちに囲まれることが日常になって色んな写真を見ていたら「私にも撮れるかも」って思っちゃったんです(笑)

 

そんな時、当時の編集長から「お前がやりたいことは、編集じゃなくて写真なんじゃないの?」って言われて「修行してきたら?」って言われてカメラをいただいたんです。それがきっかけで「やるわ!私」となったんです。

 

普通のルートとは違う道を自力で切り拓く

決心はしたものの、何もない砂漠に放り出された気分でした。就職活動もしないって決めていたのでその時、全く就活をしていなかったんです。ただ、やりたいことができて、どうやってやろうかなと解決策を模索し始めると誰かが教えてくれる。人との縁とか、情報とか。

 

結果ラッキーだから、当時一番イケてるスタジオに入れたんです。一回行ってダメで、でも入りたかったから2回でも3回でも行こうと思ってたら、2回目で入れたんです。

 

「別に怖くても、自信がなくてもやるんだよ」

新しいこと始める時って怖いじゃないですか。失敗したらどうしようって。やってみないと分からないのに。それで動けなくなっちゃって、本とか読んじゃって。

 

でも、本当に自分がやるべきことは、そのやるべきことに対して動かないと何も動かない。本を読んだり、英語の勉強をして知識を付けても何も動かない。それは常に自分に言っていること。

 

怖くて、一番自信がなかったのはアレクサンドルを始める時。フォトグラファーなのにこんなにしゃしゃり出ちゃっていいのかな・・・というところ。私はビジョンが見えているけれど、何て思われるだろう。これを一歩進めることで、今までの仕事を失うかもしれないとか、せっかく築いてきたものを失うんじゃないかって。

 

批判の声

アレクサンドルを立ち上げた後の反応は「すごいね」と言ってくれる人もいれば、批判的な人もいたんです。立ち上げた直後に娘と一緒に2週間行った海外では、最初の一週間ずっと下を向いて歩いていた。それくらい周囲の反応に消耗しました。

 

旅先で美術館に行って、Banksy(バンクシー)というストリート系のアーティストの作品を観ていた時に、その作家の姿勢、作り続けるという姿勢から学んだ。私がやってるのはアートだって改めて気が付いたんです。

 

この年になると、周囲はその道のプロばっかり。だからそういう人たちの意見が余計に刺さった。だけど、そういうのから解放されて。もう突き進むしかないって思ったんです。人の声を聞いてると、無難なものになっちゃうんだけど、もっと踏み込んだ考え方ができるようになって、それは素晴らしい体験だった。

 

Key Question

「前の自分より今の自分イケてる?」

これは私がいつも自分に問うてること。あれ?前のできなかったのに、今できてる。ちゃんと成長してるじゃん!て。この質問の答えって絶対にみんなイケてるんですよ(笑)

・子供がいなかったのに子供がいる
・結婚してなかったのに、結婚してる
・こんな友達がいる
・仕事ができるようになった

 

ポイントは、前の自分とくらべること。人と比べるとイケてないとこなんて、みんな山ほどあるから。それと比べると、私全然ダメ!ってなるんだけど、前の自分と今の自分で比べると絶対にイケてる。

 

行き詰った時によくすること

今、娘が4歳なんだけど、その娘が自分のお友達にママの話をしているシーンを思い浮かべてセリフを考えています。

 

「私のママは、有名なフォトグラファーなの」
「すごいバレエダンサーをたくさん撮ってて、世界中にお友達がいるんだよ」
「ママの写真はすっごくカッコいいんだよ」

 

そう自慢気に言ってもらいたいなって思うと、じゃあ、そうなりたいから今私何できる?ってリストアップする。その時に大事なのは、自分にできないことは考えないこと。お金がないからこれできない。とかじゃなくて、私は写真が撮れる、フリーランスだから二週間休みとれる、自分ができることを全部探す。

この記事は抜粋版です
全編はこちらの音声でお楽しみください!

井上ユミコ
1975年 広島県出身。1997年 慶応義塾大学を卒業後、スタジオフォボスを経て独立。雑誌、広告で活躍中。

写真家としてバレエダンサーを被写体として捉えるうち、バレエファンはもちろんバレエをまだ知らない人にも彼らの生き様と思想を伝えたいという想いから、「Alexandre(アレクサンドル)」というハイクオリティ・バレエ・ウェブマガジンを立ち上げた。
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